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とあるマブスファンが優勝のために考察するブログ

補強だけが全てじゃないという話 ~バックスの優勝から考える~

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  今更of the year ですが、バックスが優勝しましたね。僕は推しチームが敗退しても最後までしっかり見る派なのですが、スモールマーケットのフランチャイズプレーヤーがチームを優勝に導く姿を勝手にマブスに重ねて妄想してたりしましたね。

 結果として非常にいい形での優勝となったバックスですが、最初からずっと順調だったわけではありません。「JRガチャ」、「クラウダーガチャ」など、数々の波激しい系選手のトップに立った「ホリデーガチャ」は、2試合に1回大当たり、それ以外は大外れというように、オフェンスにおいては最後まで不安定でした。ミドルトンはホリデーほどではないにしても、同じく波の激しい選手であり、そして何と言ってもヤニスのフリースローはこのプレーオフの名物と言っていいほどメディアに取り上げられたりファンに挑発されたりするなど、バックス側にとっては非常に不安要素でありました。あまりにプレーオフで煽られ過ぎたせいか段々とヤニスのフォームも安定してきて、最終戦では今までの鬱憤を晴らすかのような圧巻の17/19でしたが、同じ東のセミファイナルでハック・ア・シモンズによってシクサーズが半ば自滅したようになったのを見ていたことで、プレーオフが佳境に入ってきた段階でもなおバックスを優勝候補に推しづらかった人も多かったのではないでしょうか。

 ここでは別にバックスが勝ったのが運が良かったとかそういうことを言いたいのではなく、不安要素を抱えつつもそれを完全に解決しないままでも優勝したという事実はこれから次のステップに進もうとする他のチームにとって励みになり、参考にすべきものになったということです。僕はマブスファンなので、やはりこれからのマブスと重ねて考えたくなります。今年はドンチッチのルーキー契約最終年かつキャップスペースが約30Mほどあるので、今オフの補強は今後数年に関わる非常に重要なものになるでしょう。そうして考えたときに、マブスの補強で何が必要かと考えたとき、

①ドンチッチを助けられるレベルのエリートなボールハンドラー

②ウィングディフェンダー

③アスレチックなビッグマン

なんかが挙げられます。そうなると①、②を満たせるのはカワイで③はホルムズでそうなるとサラリー足りなくてダメやん!みたいな思考に陥りがちです。このように、今抱える問題とFAにいてそれを解決できそうな選手、そしてサラリーがピッタリ合致するようなことは稀であり、「理想的な補強」というのは文字通り「理想」でしかないものだというように思えてきます。

 これを昨シーズン終了後のバックスに置き換えると、プレーオフで露呈した課題は

①ゲームを通してプレイメイクできるような安定したボールハンドラー不足(ブレッドソーではちょっと…)

②ディフェンスでの戦術の柔軟性のなさ(ドロップ以外できない)

この2つが主だったものでした。オフシーズンにはクリス・ポールのトレード獲得が噂されたのは①を解決するためだったと思います。結果として獲得したのはホリデーで、オフェンスにおける安定感という意味ではクリス・ポールに大きく劣ります。

 ①を解決するためにバックスは一人の安定したボールハンドラーを求める代わりに、やや安定感に欠けるハンドラー3人でその役割を補い合うという手に出ました。ホリデー・ミドルトン・ヤニスの3人は使う側にも使われる側にもなれることで、「3人の内2人が活躍すればいい」くらいの感覚でいたように感じます。

 ディフェンス面に話を移しましょう。ホリデーやタッカーの獲得は間違いなくバックスディフェンスの戦術に柔軟性をもたらしました。しかしそれ以上に重要なのは、よりディフェンスに柔軟性を持たせるための取り組みを、シーズン中からしていたということです。

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この記事に書かれているように、バックスは過去2シーズンの失敗を受けて、ヤニスをスクリーナーとして多く使ったり、試合終盤でのスイッチの回数を増やすなど、まさにファイナルでバックスがやったことをレギュラーシーズン中に試していました。ヤニス・ミドルトン・ヤニスというここ数年のバックスの成功に貢献してきたコアメンバーを保持しながらのこの変化は、補強が全てとは言えないことを示唆しているのではないでしょうか。

 また、ロペスについても触れなければなりません。バックスがスモールラインナップを多用したため、どうしてもファイナルでは影が薄くなってしまったロペス。しかし彼がディフェンスでボコボコにされたのはオールスイッチを貫いた第1戦くらいで、それ以降はホリデーが高い位置からプレッシャーをかけることでクリポにスペースを自由に使わせなくさせ、かつロペスを抜かれた際のショットブロッカーに徹しさせることで、上手くロペスの弱点を隠していました。使える選手が限られてくるプレーオフにおいて、穴になりそうなロペスを上手くディフェンスで有効活用できたのはバックス側の地味なファインプレーだったと思います。

 なにが言いたいかというと、補強が思い通りにいかなくても、チームの抱える問題を解決する手段は補強以外にもあるということです。オフェンスではポルジンギスやティムハにオフボールスクリーンからのシュート、ピック&ポップのスクリーナーなど、能動的にシュートを打たすポゼッションを増やして疑似的にセカンドハンドラー問題を解決するインサイドが脆弱でリバウンド争いに弱いなら、ある程度外から打たれるのを許容する代わりにインサイドへの侵入だけは防ぎ、安全にリバウンドを確保する。こんな考え方をすれば、補強せずともなんとかなる気がしてきませんか。

  何よりこうした考えを持っておけばFAで欲しい選手が取れなくても気を楽に持てます。マブスは今までも数えきれないほどの人気FA選手に逃げられてきた歴史もあり、今年も同じ道を歩んでしまいそうな気がします。ですからマブスファンの皆さん、気楽にいきましょう。長く続いたカーライル体制も終わり、キッドHCになったことでチームスタイルも大きく変わってくれるんじゃないでしょうか。ってまあそのHCが一番不安だよって言われればそりゃそうなのですが(笑)


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