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とあるマブスファンが優勝のために考察するブログ

スーパーディフェンシブチーム・マーベリックス ~開幕から10試合を終えての所感~

 

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  我らがマブスは開幕から10試合を消化しましたね。序盤のドンチッチ絶不調、ティムハ絶不調から始まり2勝4敗になった時はどうなることやらと思いましたが、ロケッツ戦のスタメン変更で流れが変わりました。そこから怒涛の4連勝で二人とも調子を取り戻し、今最も勢いのあるチームと言って良いでしょう(というか言わせてくれ)。そんなマブスですが「結局昨シーズンと比べて強くなったの?」という疑問はあるんじゃないでしょうか。今回はそれについてスタッツを見ながら考えていきたいと思います。なお、たった10試合なんでこれからスタッツが大きく上下する可能性はあるので、そこだけは注意してください。

 

 

ディフェンシブチーム・マブス

 チームの強さを図る基準としてはネット・レーティングがありますが、まずはそこから見ていきましょう。今シーズンのマブスはどうかというと、+4.7でリーグ5位。上にはバックス、レイカーズペイサーズ(!)、ネッツがいます。昨年の東西トップは今年もネット・レーティング通りの勝ちっぷりです。ペイサーズはヘッドコーチが変わってスリーの本数が多くなったり、何やら面白そうなのでいつかブログで取り上げたいです。マブスが6勝4敗でレーティング5位ということは、数字通りいけばまだまだ上がり目があると言っていいんではないでしょうか。

では昨シーズンはどうだったかというと…

+4.8でリーグ6位。なんと昨シーズンとほとんど変わっていません。ただこれを詳しく見るとマブスが今シーズンチームとしてのプレースタイルが大きく変わったことが分かります。

昨シーズン→今シーズン

OFFrtg115.9→109.3

DEFrtg111.2→104.6

オフェンス・レーティングが下がった分、ディフェンスは大きく改善しています。このディフェンス・レーティングはなんとなんとのリーグ2位!1位のレイカーズの104.4とほとんど変わりません。

マブスはディフェンスのチーム」

そういってもいいくらいにディフェンスが改善しました。実際に試合を見ていてディフェンス良くなったなー、足動くなーと思っていましたがまさかここまでとは!驚きです。せっかくなので今回はディフェンスに絞ってもっと深く見ていきましょう。

 

大量のウィング獲得の効果

今オフのマブスの補強には明確な目標がありました。それが「ウィング・ディフェンダーの確保」でした。セス⇔リチャードソンのトレードを筆頭にジョシュグリーン、JJ、イワンドゥと今オフ獲得した選手はほとんどが同じくらいの体格のウィング・ディフェンダーたちでした。昨プレーオフでポジョにセスやバークがついていたのが記憶に新しいですが、明確に足りなかったウィングの枚数をこれでもかと増やし、ディフェンスの穴を減らしに行きました。そしてその結果は早くも出始めています。

距離別相手のシュート確率

25ft~29ft →28.5%

20ft~24ft →32.3%

 

フィート換算で分かりにくくて申し訳ないですが、スリーポイントラインが約24フィートなので要はこの二つは相手のスリーポイントの確率といっていいです。この数字はなんとどちらもリーグ1位!昨シーズン「スリーを一番上手く使うチーム」だったのが今年は「スリーを一番止めるチーム」なのは非常に面白いですね。

選手個人のディフェンス力をはかる指標としてDIFF%(どれだけ相手のシュート確率を下げているか)があります。こちらの数字がマブスの選手は軒並み良いのですが、今回はスタメンの務めるこのコンビの数字を見てみましょう。

 

   リチャードソンのDIFF%      

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 ドリアンのDIFF%

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  この表の数字がマイナスであればそれだけ相手のシュート確率を下げているということです。ドリアンもいい数字ですが、リチャードソンの数字はそれをほとんど上回ってきます。まさにこの数字が、今オフマブスが求めていたものでしょう。試合通してエース格の選手につくことが多い中でこの数字は凄すぎです。この二人がチームのディフェンス・レーティングを支えていると言って間違いないでしょう。

 そして重要なのが、このような数字を残す選手が「複数いる」ということです。昨シーズンはカワイにしか付けられなかったディフェンダーですが、今年はポジョにも付けられます。プレーオフにおいて「穴を突かれない」ということの重要性を昨プレーオフでひしひしと感じたので、今年さらに上を目指すマブスとしてはまずは明るい材料ではないでしょうか。また、今シーズンは特殊なシーズンであり、コロナの影響で突然の欠場が多くなりそうです。実際マブスはもろにその影響を受けましたが、それでも負けなかったのは控えにJJ,イワンドゥ、グリーンがいたからでしょう。そういった「今シーズン」勝てるチームという意味でもうちのチーム、良い補強しましたね。

 

改善しつつあるインサイド

 ではマブスのディフェンスは完璧かというと、そうではありません。これから紹介するスタッツの数々は、マブスの試合を見ている人たちならなんとなく察するところがあるんじゃないかと思います。

距離別相手のシュート確率 ※括弧内の数字はリーグ内順位

15ft~19ft→45.7%(22)

10ft~14ft→41.0%(11)

5ft~9ft→48.2%(26)

5ft以内→64.7%(22)

このようにゴールとの距離が近くなるにつれ、どんどん順位が下がっていきます。本来ペイント内を守るべきビッグマンたちが、その役目ををきちんと果たせていないからです。

 パウエルのDIFF%        

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  ボバンのDIFF%

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6フィート以内のディフェンスはビッグマンとしては壊滅的で、この二人はペイント内ディフェンスにおいてはほとんど役に立っていないと言って良いでしょう。そしてスタメン変更から4連勝したことも頷けます。

 

 ウィリコのDIFF%

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近距離の相手の確率だけ見るとボバン・パウエルに比べて飛躍的に向上しているのが分かるでしょう。ここにポルジンギスが加わることを考えると、これからペイント内失点がどんどん減っていくことは期待できるでしょう。また、ポルジンギスの復帰は更なる相乗効果を生むかもしれません。スタメンを務めるリチャードソンはかなり激しいプレッシャーをかける選手で、しばしば追いかけ気味にディフェンスします。そこをカバーできるのが、ヘルプの鬼ことポルジンギスです。アウトサイドを守るのがちょっと苦手なポルジンギスにとっても、常にプレッシャーをかけてくれるリチャードソンがペイント内に追い込んでくれるのはありがたいでしょう。

 追いかけまわすリチャードソン+ヘルプの鬼ポルジンギス

全員揃ったときに楽しみなのは、実はこんなディフェンシブな側面だったりします。

 

最大の課題は未だ変わらず

現時点では今オフに想定していた通りになっていると言っていいでしょう。ただ、それで昨シーズンより勝てるかはまた別の話です。冒頭でも触れましたが、今年も昨年もマブスのネットレーティングは西で2位、3位でもおかしくないくらいです。ではなんで昨シーズンは西7位に甘んじたのか。もう理由はみんな知ってますよね

接戦に勝てるかどうか

結局はここに帰着するんですよね。チームの戦い方はよりプレーオフ向きにはなりましたが、シーズンで上がっていくには接戦を拾っていかなくてはなりません。今シーズンのマブスクラッチタイムの数字は流石にスモールサンプル過ぎるので、ここでは取り上げません。ただ、今シーズンクラッチタイム初勝利となったナゲッツ戦では、今後接戦を戦う上でいくつか明るい兆しが見えた気がします。

・ドンチッチ以外が得点する

・ドンチッチ自身の得点パターンの増加

・「守り勝てる」くらいのディフェンス力の向上

延長前のクリバーの逆転スリー、延長に入ってからのリチャードソンのドライブと試合を決めるスリーポイントとドンチッチ以外のところが目立ったのがナゲッツ戦でした。これはナゲッツのディフェンスの戦略的な問題(ボールマンに複数人でかなりプレッシャーをかける)はありますが、4Q残り2:55にクリバーが決めたスリーは完全に彼のためのセットプレーであり、ドンチッチ一辺倒だった昨シーズンのクラッチタイムにはあまりなかったプレーで、このようないわば変化球を絡ませられればいいなと思いました。

ドンチッチ自身も変わったような気がします。昨シーズン、ショットクロックがなくなってきた時のドンチッチのシュートはほとんどがステップバックスリーで、確率もひどいもんでした(ショットクロック残り0~4秒以内で打ったスリーの確率はなんと6.9%)。そんな反省を踏まえてか、今シーズンの彼はミドルレンジ付近のジャンパーを意図的に増やしている気がします。ナゲッツ戦に最後に決めたのもそれですし、得点パターンを増やすことは当然ながら相手に読まれにくくなることに繋がります。今シーズンもなんやかんやでボール持つのはドンチッチなので、彼自身のクラッチタイムのシュート確率を上げることはチームの勝率に直結します。

 延長に入った後に印象的だったのはナゲッツに楽にシュートを打たせないよう、ひたすら全員がチェイスしていたところです。ヨキッチへのクリバーのブロックもありましたし、リチャードソンはマレーをほとんどボールすら持たせないほど追いかけまわし、延長では無得点に抑えました。ヨキッチにはある程度活躍を許したものの、打たせたシュートはほとんどタフなミッドレンジ・ジャンパーやコンテストされながらのゴール下のシュートでした。「たとえこっちが決めれなくてもあっちも決めさせなければいいだけ」そんな我慢強い戦い方が続けられればいいですね。

 こうやって好意的な見方をしてきましたが、今シーズン接戦をものにできるかどうか、正直僕は不安です。セカンドハンドラーの不在は未だ解決していない問題であり、その役割もリチャードソンに求めていた僕としては、そういった意味では物足りないです。また、ディフェンスに関しても昨シーズンもクラッチ・ディフェンスに関しては悪くなかったので、「守り勝つ」戦い方を通すためには、相当レーティングを引き上げなくてはなりません。昨シーズンと同じ課題に直面し続ける可能性も全然あると思います。

 しかし大事なことはチームが「変わろうとして、その結果が出ている」ということです。「もっと上を目指したい」という気持ちがフロント・選手共に表れているのが見れて、僕はとても嬉しいです。なんやかんや一番昨シーズンと変わった点はベンチで常に盛り上げるJJやリチャードソンの存在かもしれません。まだまだシーズンも始まったばかりですし、コロナの影響で未だ全員揃わない日が続きますが、全員揃ったらどれだけ強いのか、そして今シーズンが終わった時に接戦でどれだけ勝てるようになっているか、それを想像するだけでも僕はワクワクします。